災害時における通信手段の確保は非常に重要です。多くの人々が安価で便利な格安SIMを日常的に利用していますが、地震や台風などの緊急事態においても同様に機能するのか疑問を抱く方は少なくありません。
この記事では、格安SIMの災害時の利用可能性について掘り下げ、発生した際の注意点やデメリットを解説。安心して生活するためにも、事前に知っておくべき情報をご紹介します。
格安SIMとは？基本をおさらい
格安SIMとは、ドコモ・au・ソフトバンクなど、大手キャリアよりも低価格帯で通信サービスを提供するSIMカードです。
この低コストは、格安SIM会社が自社で通信網を持たず、大手キャリアの網を借りてサービスを提供するMVNO（Mobile Virtual Network Operator）モデルに基づいています。そのため、設備投資が少なく、経営コストを抑えることができるのです。
他にも料金が安い理由としては、宣伝費用の削減や店舗を持たないオンライン主体の販売戦略にあります。また、プランの柔軟性が高く、自分の使用状況に合わせたプランを選べるため、無駄な料金を支払う必要がないのも魅力の一つです。
災害時の格安SIMの利用状況
格安SIMには、災害時に通信が混雑しやすく、大手キャリアに比べて通信品質が低下する可能性があります。これは、大手キャリアが優先的に通信網を確保できるためで、緊急時の連絡手段としては不安定になることがある点を理解しておく必要があります。
格安SIMには、大手キャリアから回線の一部を借りている「MVNO」と、大手キャリアの回線をそのまま利用している「MNO」の2種類があります。
上記で紹介した通り、MVNOの場合は大手キャリアに比べて通信品質が低下する可能性がありますが、MNOは大手キャリアと同じ回線を利用しているため通話品質は安定しています。
しかし、災害時の場合は警察や消防などへの緊急通報を優先させる目的で、通信規制が実施されるので、地震などの安否確認で音声通話が集中した場合は大手キャリアでも繋がりにくくなります。
通話は可能？通信制限のリスク
災害発生時には音声通話の需要が急増するため、格安SIMでも通話が困難になる可能性があります。さらに、データ通信においても、多くの人々が情報を求めてインターネットにアクセスすることで、ネットワークが圧迫され、格安SIMユーザーは速度制限を受けることが予想されます。
これは、日常生活での利用には影響が少ないかもしれませんが、災害時には重要な情報を得るための障壁となり得るデメリットです。
このような状況を踏まえると、災害時には通信制限のリスクを理解し、非常時用の予備の通信手段を用意しておくことが賢明です。
例えば、ポケットWi-Fiや衛星電話など、異なる通信回線を利用できるデバイスを事前に準備しておくことで、災害時における通信の確保につながります。
また、LINEやWhatsAppなどのインターネットを利用した通信アプリを活用することで、音声通話が困難な状況でもコミュニケーションを取る手段を確保することが可能です。
通信の安定性を確保するために
データ通信の安定性を確保するためには、災害発生前にはバックアップとしてWi-Fi環境の準備やモバイルバッテリーの充電、災害用アプリのインストールなどの対策が推奨されます。
また、災害発生時には、通信状況を定期的にチェックし、必要な情報を素早く入手することが重要です。
日頃からこれらのリスクに備えることが求められます。そして、万が一の事態に備えて公衆無線LANなどの代替手段を検討するなどの準備が不可欠であると言えるでしょう。
災害時の注意点
災害発生時、格安SIMユーザーは大手キャリアに比べてサポート体制に不安がある場合が多いです。
大手キャリアでは災害用伝言板サービスや緊急時の無料Wi-Fi提供などのサービスが充実しているのに対し、格安SIMではこうしたサポートが限られていることがあります。
しかし、NTTが提供している『災害用伝言板（web171）』は格安SIMなど関係なく、誰でも利用することができます。もし格安SIMで災害用伝言版サービスを利用する場合はこちらの利用をおススメします。
他にも「全国避難所ガイド」や「無線」などが利用できるアプリなど、災害時の連絡手段として事前に複数の方法を検討しておくことが重要です。
災害時の連絡手段としての格安SIMの活用法
災害時には通常の通信手段が途絶えることがあります。そんな状況下でも連絡手段を確保するためには、格安SIMが有効な選択肢となることがあります。
公衆無線LANサービス「00000JAPAN」は、災害発生時に無料で利用できるサービスで、スマートフォンがあれば誰でも接続可能です。ただし、このサービスは一時的なものであり、長期間にわたって安定した通信を確保するには限界があります。
そのため、災害時でも安定した通信を求めるならば、信頼性の高い格安SIMの選び方が重要です。通信品質はプロバイダによって異なるため、事前にネットワークの広範囲カバレッジや通信速度、そしてサポート体制を確認しておくことが肝心です。
また、MVNOの格安SIMは、大手キャリアと比較して通信速度が遅いことや、災害時には回線が混雑しやすいといったデメリットがあるため、通信速度が安定しているMNOの格安SIMがおすすめです。
他にも、複数の通信回線を利用できるデュアルSIM機能を持つスマートフォンを用意しておくことで、一方のネットワークが使用不能になった場合でも、もう一方で通信を維持することができます。
公衆無線LAN「00000JAPAN」について
災害時には、通信手段の確保が生命線となります。その一環として、公衆無線LANサービス「00000JAPAN」は非常に重要な役割を果たします。このサービスは、災害発生時に無料でインターネット接続を提供し、情報収集や緊急連絡に利用できるため、格安SIMと組み合わせることでコミュニケーションの確実性が向上します。
格安SIMはコストパフォーマンスに優れている反面、災害時には「通信速度の制限」や「エリアによる繋がりにくさ」がデメリットとして挙げられます。しかし、災害時にはこれらのデメリットを補うため、公衆無線LAN「00000JAPAN」を活用することが推奨されます。
災害発生時には、多くの人々が同時に通信を試みるため、ネットワークが混雑しやすくなります。そこで「00000JAPAN」が提供するWi-Fiスポットを利用することで、混雑を回避し、スムーズな通信が可能になります。
通信の安定した格安SIMを選ぶ際には、提供エリア、通信速度、料金プランを総合的に比較することが重要です。特に災害発生時には、通信インフラが損傷する可能性があるため、広範囲でのサービス提供が可能な格安SIMを選ぶことが望ましいです。
また、事前に「00000JAPAN」のアクセスポイントを確認しておくことで、いざという時に迅速にネットワークに接続することができます。
災害時の安全を確保するためにも、日頃から通信手段の確保は欠かせません。格安SIMと公衆無線LAN「00000JAPAN」を上手く組み合わせることで、万全の体制を整えておくことが大切です。
おすすめの防災アプリ紹介
災害時における情報収集は極めて重要です。特に、格安SIMユーザーは通信制限やネットワークの安定性に不安を抱えがちですが、適切な防災アプリの利用により、これらのデメリットを克服することが可能です。そこで、災害時に役立つおすすめの防災アプリを紹介します。
1. ゆれくるコール
まず1つめは、緊急時に即座に情報を得られる「ゆれくるコール」です。
あらかじめアプリで設定した地点の「予想震度」「予想到達時間」をプッシュ通知でお知らせしてくれます。また、一覧画面では地震の詳細情報を確認できます。
地震発生時の速報を通知してくれるため、迅速な行動が可能になります。
2. 災害伝言板サービス
「災害用伝言板」は、家族や友人との連絡手段として役立ちます。通信状況が不安定な場合でも、メッセージを残すことで安否確認を行えます。
また、格安SIMユーザーには「Yahoo!防災速報」のようなアプリが推奨されます。これは、豊富な情報源から最新の気象情報や災害情報を提供してくれるため、事前の備えが可能です。
さらに、地域に特化した情報を提供する「防災コミュニティ」も有効です。地域の避難所情報や避難経路を確認できるため、安全な行動が促されます。
3. 全国避難所ガイド
全国のどこでも防災情報をプッシュ通知でお知らせしてくれます。
・防災情報に「Chat GPT」のアドバイスを表示します。
・国民保護情報の発表に連動して、国民保護避難施設を表示します。
・平常時には、災害用避難所・避難場所と国民保護避難施設の切り替え表示ができます。
4. ニュースアプリ
災害時には、通信網が混雑しやすく、格安SIMのデメリットが顕著になりがちですが、データ通信量を節約しつつ情報を得られる「NHKニュース・防災」のようなアプリは、その不安を解消してくれます。
5. バッテリー節約アプリ
災害時には、停電になるケースもあり復旧までに時間を要する場合もあります。
いざという時に「バッテリー切れでスマホが使えない」とならないように、バッテリーの節約ができるアプリを入れておくこともおすすめです。
これらのアプリを事前にダウンロードし、使い方を習熟しておくことで、格安SIMの通信制限を気にすることなく、災害発生時に冷静に対応できるようになります。
安全を確保するためにも、これらの防災アプリを活用し、日頃から準備を整えておくことをお勧めします。
まとめ：災害時も安心？格安SIMのリアルな使い心地
災害発生時、多くの人々が通信手段の確保に苦労することがあります。特にMVNOの格安SIMを利用している場合、一般的な大手キャリアと比較して、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
考えられるデメリットまとめ
①ネットワークの混雑
災害時には通信量の増加によるネットワークの混雑が予想され、格安SIMユーザーは優先度が低いとされる場合があります。これは、大手キャリアの回線を借りているため、緊急時には元のキャリアの顧客が優先されるからです。
②復旧が遅れる可能性
災害時には基地局が損傷することによる通信障害が発生する可能性があります。格安SIMの場合、復旧作業が大手キャリアに比べて遅れる傾向にあるという報告もあります。そのため、万が一の状況を考えると、サブスクリプションの一環として災害用の大手キャリアのSIMカードを用意しておくのも一つの手段です。
③データ制限に注意
格安SIMに限りませんが、月末に近づくにつれてデータ通信量の制限に直面することがあります。災害時には情報収集が重要になるため、データ制限に達してしまうと十分な情報を得ることが難しくなります。そのため、無制限プランを提供している格安SIMや、災害時にデータ通信量を無償で提供するキャンペーンを実施している会社を選ぶことが肝心です。
④通信速度の低下
通信速度の低下も格安SIMのデメリットとして挙げられます。災害時には迅速な対応が求められるため、速度制限による遅延は致命的な影響を及ぼす可能性があります。通信速度が生命線となる状況を考慮し、平常時から通信環境の確認を行うことが大切です。
最後に、災害時の格安SIMの使い心地については一概には言えません。地域や時間帯、災害の規模によっても大きく異なるため、各自が自分の状況に合わせた準備をすることが重要です。災害に強い通信環境を整えるには、日頃からの情報収集と備えが不可欠です。
